エンジニアの数が足りないから失敗するのではなく、質が足りないから失敗する

「エンジニアを増やしても、プロジェクトが思うように進まない」

これは、多くの企業が直面する問題です。安価なエンジニアを複数雇用しても、結果的に開発が進まない、品質が上がらないと感じているマネージャーや経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、いわゆる「安かろう悪かろう」という問題が起因しています。

むしろ、質の高いエンジニアを一人採用するだけで、問題が解決できることがあります。本記事では、その理由と、どのように質の高いエンジニアが企業の成長に貢献できるかについて詳しく解説します。

安いエンジニアを雇うことの問題点

成果物の品質

アプリケーションの品質が低いと、リリース後にさまざまな不利益が発生します。たとえば、バグが多発したり、パフォーマンスが悪いアプリケーションは、ユーザーにとってストレスとなり、離脱やクレームに繋がります。また、受託開発企業の場合は、発注元からの信頼が揺らぐことで、最終的には他社に乗り換えられるリスクも生じます。

品質低下による社内リソースの浪費

低品質なアプリケーションのトラブル対応に巻き込まれるのは、結局のところ貴社の「社員」です。本来なら新しいプロジェクトに取り組むなど、生産的な仕事をすべきエンジニアが、バグ修正や顧客対応に追われ、残業が増え、開発チーム全体の生産性やモチベーションが低下してしまいます。このような状態は「負け癖」がついたチームであり、技術力の低い安いエンジニアを雇ってしまうことのリスクです。

外注先を完璧に管理することは難しい

いくら社員が頑張っても、結局のところ開発する本人の技術に品質は左右されます。コードレビューにも限界があります。開発→リリースのサイクルをスピーディに回す必要があるからです。だからこそ、技術力の高いエンジニアを高単価で雇い、開発時から品質を担保する必要があります。

管理コストの増加

リソース管理の観点でも、二人のエンジニアを管理するよりも、一人のエンジニアに集中する方が、はるかに効率的です。チームの人数が増えると、タスクの調整、進捗の確認、コミュニケーションといった管理コストがかかります。

責任の所在

また、責任の所在を明確にすることも難題です。

マネージャーといえど、「あなたはできるエンジニア」「あなたはできないエンジニア」と差別することはできません。できないエンジニアに対しても、タスクを割り当てなければなりません。仮にできないエンジニアに仕事を任せないとしても、これは完全にリソースの無駄遣いであり、大赤字です。できるエンジニアがその分のタスクをカバーしなければならないので、負担とストレスが増えます。「なぜ、同じ単価なのに私ばかりが働かなければならないのか」と不満が溜まります。しかし、最初から倍の単価を払って質の高いエンジニアを一人雇っておけば、コミットメントを得られます。

エンジニア同士においても、二人いることで積極性が失われることがあります。一人であれば、タスクを実行するのは自分しかいないので問答無用でやるしかありませんが、二人いれば気を使うのが人間です。その結果、積極性に欠けた様子見の仕事が増えるのです。

プログラミング以外の仕事

私自身、このような記事を書いているため、管理コストの重大性は理解しています。開発マネージャーなどの上席がリソース管理で苦労するポイントとして、

  • メンバーの進捗を把握できない
  • BacklogやJiraなどのツールを使っても、チケットの更新作業をしてくれない
  • ドキュメントが残っておらず、設計や実装の詳細を把握できない

などの問題があります。

このような職務スキルは、指示をしたからできるようになるものでもありません。開発プロジェクトに対してどのような意識で取り組んでいるのかが反映されます。私を雇った場合、マネージャーは私の進捗管理に苦労することはありません。なぜなら、進捗は管理されるものではなく、私の方から伝えるものと認識しているからです。「この件、どうなっていますか?」と進捗を聞かれた時点で負けなのです。

安いエンジニアを雇用すると「プログラミングさえやっていればいい」という感覚で働いているケースも多く、結果的に管理コストの増加に苦しむことになります。

資産が残らない

アプリケーションは企業の資産であり、開発プロセスや人材についても資産と考えるべきです。安いエンジニアを複数雇用しても、マンパワーが増えるだけで資産が積み上がりません。

例えば、フリーランスエンジニアを雇用するなら、自社の開発チームにプラスの資産を積み上げてくれる人材でなければなりません。これまでの経験、技術的なスキル、仕事のやり方を社内に還元してもらい、自社のエンジニアとシナジーを生み出すのが理想です。

良質なエンジニアを開発チームに加えることで、他の人材も育ちます。人が育つということは、結果的に自社に利益をもたらすことと同じです。

しかし、安くて質の悪いエンジニアを採用すると、アプリケーションの品質、開発プロセス、人材育成の全てにおいて、マイナスの方向に向かいます。

だからこそ、安いエンジニアを複数人採用するなら、倍の単価で一人のエンジニアを雇う方が、企業にも長期的に利益をもたらします。

数が足りないから失敗するのではなく、質が足りないから失敗する

多くの企業が、プロジェクトが遅れていると「もっとエンジニアを増やせば解決できる」と考えがちです。しかし、これまで述べた通り、これは表面的な対処に過ぎず、問題の根本的な解決にはなりません。むしろ、数を増やすことでチームの管理が複雑化し、かえって生産性が低下するケースが非常に多いです。

では、どのようにしてプロジェクトの成功率を高め、成果を最大化することができるのでしょうか?

やはりその答えは、「数ではなく質」を重視することにあります。

50万円のエンジニアを2人雇うのではなく、100万円のエンジニアを1人雇う方が、結果的に企業の利益を増やし、プロジェクトの成功率を高めることができるのです。

質の高いエンジニアは、以下のような特徴を持ち、プロジェクトに大きな利益をもたらします。

質の高いエンジニアがもたらすメリット

高い生産性

豊富な知識と経験を持つエンジニアは、スピーディーにタスクを進め、他のメンバーが必要とするサポートも最小限で済むことが多いです。一人で複数人分の仕事をこなし、プロジェクト全体の進行スピードを格段に上げることができます。

高い品質

質の高いエンジニアは、コードの品質にこだわり、バグや不具合を未然に防ぐ技術を持っています。最初から設計段階で問題を回避し、メンテナンスが容易なコードを構築するため、リリース後のトラブルも減少します。その結果、メンテナンスコストが抑えられ、長期的な利益につながるのです。

資産を残す

質の高いエンジニアは、開発作業に加え、プロジェクトの設計思想やアプリケーションの構成、運用ルールをドキュメント化することも得意としています。これらは、会社の資産を増やす行動です。このため、新しいエンジニアが加わった場合でも、スムーズにプロジェクトに参加できる環境が整います。私自身もこの手法を取り入れており、プロジェクトの進行が円滑であることが多くのクライアントから評価されています。

エンジニア単価の投資は、企業の利益に直結する

2人のエンジニアに分散してタスクを割り当てるよりも、優れたエンジニアに対して倍の単価を支払い、プロジェクト全体をリードしてもらう方が、遥かに良い成果を得られます。その結果、以下のような効果的なサイクルを生み出します。

→人材への投資
→スピードの向上
→品質の向上
→企業の売上増加

注意点

質の高いエンジニアに対しては、適切な単価と契約期間を確保することが重要です。

このようなエンジニアは、他の企業からもオファーを受ける可能性が高いため、プロジェクトの見通しに応じて、年間契約や長期契約を締結することで、企業のリソースを安定的に確保することができます。

例えば、最低でも1年間の開発期間を必要とするのであれば、月単価100万円で1年契約を結ぶことで、企業は1年間そのエンジニアのリソースを確保でき、他社への移籍リスクを減らすことができます。

数ヶ月単位の契約の場合、エンジニアに移籍される可能性があるため注意が必要です。

最後に

「数が足りないから失敗するのではなく、質が足りないから失敗する」という考え方にシフトすることで、企業は短期的なコスト削減を追求するのではなく、長期的な利益を見据えた投資ができるようになります。企業の成長とプロジェクトの成功には、質の高いエンジニアを一人採用することが、数に頼るよりも効果的なのです。

私自身、フリーランスエンジニアとして、この技術ブログを通じて多くのクライアントから信頼を頂いています。数々のプロジェクトで成果を上げ、その実績から長期にわたる開発依頼を受けています。こうして企業から求められるエンジニアとして、皆様の課題を解決し、質の高い成果を提供し続けてきました。

もし、プロジェクトで確実な成果を出し、質の高いエンジニアを必要としているのであれば、私が貴社の成長を支えるお力になれます。どうぞお気軽にご相談ください。

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